テストを通してコンバージョン測定における Attribution Reporting API の有効性を確認した MiQ
概要
- MiQ は、コンバージョン測定のユースケースにおける Attribution Reporting API の有効性を評価し、プライバシーに配慮した精度の高い測定機能を開発するため、独立実行型の API テストを行いました。
- テストでは、サードパーティ Cookie によってコンバージョンが捕捉されたユニーク ユーザー数の 85% が Attribution Reporting API で記録され、さらにサードパーティ Cookie で捕捉されなかったユーザー数が 3.7% 記録されました。
- クラウド スペースのエキスパートとして、MiQ ではクラウドベースの高信頼実行環境でサマリー レポートを実装し、サードパーティのトラッキングを使用することなくシグナルを維持できるようにしました。この取り組みはテストの初期段階のものですが、大規模なアトリビューション レポートのテストや、TEE を使用するマーケター向けの新たな実装プロセスですでに役立てられています。
プライバシー最優先の高度なターゲティングと測定機能
MiQ は、フルサービスのキャンペーン、分析、パフォーマンス ソリューションをブランドや代理店に提供する、グローバルな プログラマティック メディア プロバイダです。広告エコシステムがオンラインのプライバシー重視の新たな時代を迎える中、MiQ ではサードパーティ Cookie に頼らない代替システムの必要性を認識していました。そこで同社は、プライバシー サンドボックス関連 API を組み込み、広告の効果を高い精度で測定できるプライバシー最優先のソリューションの構築に着手しました。
同社のチームは、独自のソリューションやパートナー ソリューションとともに、API のバイサイドのユースケース(Attribution Reporting API シグナルを活用した最適化や広告の関連性向上)を調査し、イベントレベルのレポートやコンバージョン測定におけるこの技術の有効性を評価しました。
イベントの測定で Attribution Reporting API をテスト
MiQ では、既存の独自技術によるオーディエンス セグメンテーションでプライバシーに配慮したデータ(ファーストパーティ データ、ブラウザデータ、プライバシー重視の ID など)をすでに使用していました。そのためテストチームには、アトリビューション レポートの統合とプライバシー サンドボックス関連 API の使用によるクロス DSP 測定ソリューションの構築に必要な技術や知識が十分にありました。
MiQ の独立したアトリビューション レポート分析では、4 つの市場の 6 つのブランドのデータを使用して、API の測定機能を評価しました。テストを進める中、担当チームは検証が必要なイベントレベルのレポートで、データの損失やノイズの増加といったプライバシー保護に伴う制約に直面しました。結果を歪めることなくノイズを効果的に減らすには、キャンペーンで優先度の高いコンバージョンをユーザーあたり 1 つに制限する必要があることがわかりました。プライバシー サンドボックス チームは、エコシステムの各方面の関係者から提供されたフィードバックに基づいて、Flexible Event-Level Configurations(イベントレベルの柔軟な設定)をリリースすることにしました。これにより、テストチームではニーズに合わせたアトリビューション レポートのカスタマイズが可能になりました。
データの損失とデバイスの可用性については、より複雑な課題であることが示されました。MiQ のテストでは、API が存在していたのは広告インプレッションのわずか 25% ほどであることがわかりました。これには、iOS での Attribution Reporting API の提供がポリシーで制限されているなど、いくつかの要因が考えられました。また、有効な Chrome ブラウザで実行した場合、コンバージョンに至ったユニーク ユーザー数がアトリビューション レポートより Cookie のほうが 11% 多く記録されていたこともわかりました。これらの要因から、既定の 7 日間のレポート タイムラグ(ユーザーレベルのクロスサイトの識別子の再作成を制限するプライバシー保護設定)を主な原因とする作業仮説を立てました。これを解決するため、MiQ では測定手法を再構成して、測定の精度を高く保ちつつ、Attribution Reporting API 向けに最適化しました。
「Attribution Reporting API は、Cookie より広範なデータ収集が可能で、測定や最適化に欠かせないデータソースになり得ると信じています。プライバシー サンドボックス関連 API の調整と改善は、テストを重ねることでしか実現できません。マーケターの皆さんには、自社のキャンペーンと業界全体の利益のため、テストに参加されることを強くおすすめします。」
結果と知見
MiQ のテストでは、Cookie によってコンバージョンが捕捉されたユニーク ユーザー数の 85% が Attribution Reporting API で記録され、さらに Cookie で捕捉されなかったユーザー数が 3.7% 記録されました。イベントレベルのレポートは、従来のコンバージョン ピクセルと変わらない量のデータを取得できることから、有効性の高いデータセットであることが証明されました。MiQ では、キャンペーンの真の ROI を正確にモデル化するには、 サマリー レポートとイベントレベルのレポートを組み合わせる必要があるという結論に至りました。その一方で、Attribution Reporting API を使用して、広告によるビジネス成果への影響を把握し、入札モデルを最適化できるかについては心配していませんでした。
また、クラウド スペースのエキスパートとして、MiQ ではクラウドベースの高信頼実行環境で集計サービスを使用してサマリー レポートを実装し、サードパーティのトラッキングを使用することなくシグナルを維持できるようにしました。この取り組みはテストの初期段階のものですが、今後のテスト参加者のリソースとして役立つはずです。
MiQ では、アトリビューション レポートについて、マーケティング キャンペーンの成果を最大限に高めるうえで組み合わせて活用できる強力なソリューションのひとつと捉えています。今後に向けて、マーケターや代理店の皆様には、テストに参加し、フィードバックを提供していただくことを強くおすすめします。