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プライバシー サンドボックスに関するお知らせ

よくあるご意見への回答

正面に盾が付いた工具箱のイラスト

私たちは過去 4 年間、業界と連携してプライバシーを保護し、オープンで無料のインターネットを実現する基盤の構築に取り組んできました。「プライバシー サンドボックス」と名付けたこの基盤は、すでに業界全体の企業によってプライバシー保護をより強化するソリューションの開発に用いられています。

現実の世界と同じように、優れた建物を作るには、建材だけではなく、熟練した技術と創造力を持った建築家が欠かせません。同様に、よりプライバシーに配慮したインターネットもまた「建築家」を必要とします。ここでその役割を担うのは、プライバシー サンドボックスを他のテクノロジーとともに使用して、新しいソリューションを生み出す開発者の皆さんです。

必要不可欠かつ、実現可能な変化

プライバシー保護をより強化したインターネット環境を実現するには、エコシステム全体の協力が不可欠です。ユーザーのプライバシーは守られるべきで、プライバシー保護にまつわる規制も増えています。プライバシー サンドボックスの使命は、オンラインのコンテンツや体験を無料で利用できる環境を保ちつつ、プライバシーがさらに保護されるインターネット環境を実現することです。そのためには、サードパーティ Cookie や代替的識別子などに代表される、ウェブサイト間で個人のアクティビティを追跡するこれまでの技術に
頼ることなく、オンライン広告を含めて、開発者の主なニーズをサポートする新しい技術が必要です。

一方、他の一部のウェブ ブラウザは、開発者をサポートする代替手段を提供することなくサードパーティ Cookie を制限しています。その結果、媒体社はコンテンツやサービスを維持することが
難しくなり、フィンガープリントのようなユーザーから隠されたトラッキング方法が行われるようになるため、ユーザーのプライバシーにとっても良い状態とは言えません。

しかし、誤解しないでください。新しい基盤が導入されたとしても、サードパーティ Cookie から脱却することは極めて大きな変化といえます。業界では Cookie を中心に据えた最適化が過去 30 年近くにわたって行われてきたため、その慣習を変えることは決して簡単ではありません。新しいアプローチを理解して導入するには時間と労力が必要です。

変化が大きいと、反対されることも多くなります。プライバシー サンドボックスが不十分、または複雑すぎて導入できないというご意見も耳にします。建設的なフィードバックは今後もいつでも歓迎します。同時に、皆さんがプライバシー サンドボックスを使うかどうかを正しい情報に基づいて判断できるように、これまでに寄せられたよくあるご意見に対する回答もここでお伝えします。

よくあるご意見に対する回答

ご意見 1 : プライバシー サンドボックスは、サードパーティ Cookie が実現している活用事例のための 1 対 1 の代替手段を提供していない

プライバシー サンドボックス API は、サードパーティ Cookie のあらゆる活用事例に対応するための直接的な 1 対 1 の代替手段、もしくは単独の広告技術ソリューションを意図しているわけではありません。むしろ、ウェブサイト間で個人を追跡する代替的識別子を使用せず、オンライン販売の促進や関連性の高い広告の配信など、マーケターやパブリッシャーの重要なビジネス目標の達成を支援する基礎ツールを提供するように設計されています。開発者は、プライバシー サンドボックス API を他の技術やデータと一緒に使用することでより成果を上げることができます。同様に、サードパーティ Cookie をベースに構築された製品は、ビジネス ニーズに対応するために複数の技術とサービスが必要になります。

プライバシー サンドボックス API はそもそも、サードパーティ Cookie やその他の代替的識別子と同じ機能を再現するものではないため、開発者は製品を再構築する必要があるかもしれません。たとえば、デバイス上で広告オークションを実行する場合は、これまではサーバーのみで動作していた機能が、ブラウザ上で実行されるアドテク事業者のコードとやり取りするようになります。また、ウェブサイト間のユーザー アクティビティのプロファイルに基づくオーディエンスなど、サードパーティ Cookie に依存する機能をプライバシー サンドボックスを用いて直接再現することは不可能になります。

2023 年 9 月から Chrome で提供開始した現在のプライバシー サンドボックス API は、プライバシー保護をより優先する未来にエコシステムを移行できると私たちは考えています。そして今後数年間、プライバシーと実用性の両面で、ユーザーのプライバシーを保護する技術のさらなる発展に取り組んでいくことを約束します。

ご意見 2 : プライバシー サンドボックスは識別子を使用することに比べて複雑すぎる

ウェブサイト間で個人を追跡する代替的識別子に依存せずにプライバシー保護をより強化したオンライン広告ソリューションを構築することは、今までの慣習を大きく変えることになります。
そのためサードパーティ Cookie の廃止に対抗して業界の一部プレイヤーによる新たな代替的識別子の
開発が試みられています。代替的識別子は既存の製品により容易に組み込むことができ、「プライバシー優先」であるとアピールされますが、実際にはウェブサイト間でユーザーの再特定を可能にするものであるため、サードパーティ Cookie の意味ある改善版にはならない可能性があります。

開発者の利便性を保ちつつ、ウェブサイト間でユーザーの情報を保護し、利用され得るデータの量を制限するシステムを設計するには、技術革新と、新しい枠組みにオープンである姿勢が求められます。

プライバシーを保護する新しい技術を活用するには、努力、創意工夫、そして時間が必要です。
多くのアドテク事業者(英語)が、サードパーティ Cookie や無制限なウェブサイト間の追跡データを使用せず、広告主の目標を達成するための技術の一つとして関連性の高い広告 API用いてソリューションを再構築している姿を見て、私たちも感銘を受け、勇気づけられています。企業はこれらの API を使って機械学習モデルをトレーニングしたり、まったく新しい製品を構築しています。私たちは今後も開発者の皆さんと協力し、フィードバックを取り入れて、プライバシー サンドボックスを通じて顧客に提供する機会を最大化していきます。たとえば、ノイズを加えた効果測定レポートのテストを行い、特定のニーズに応じて構成可能な測定 API に調整を加えられるように  Noise Lab  ツール(英語)を構築しました。また、プライバシー サンドボックスのデモを作成し、主な活用事例(英語)への対応例を示すサンプル コードを提供しています。

ご意見 3 : 将来的なプライバシー サンドボックスの機能が不明瞭

以前、プライバシー保護をより一層強化するためには、将来的に新たなプライバシー サンドボックス技術が追加されることを一部のプライバシー ボックス技術の要件共有しました。たとえば Protected Audience では、2026 年までに広告レンダリングに Fenced Frames の使用を義務付け、イベント レベルのレポートから移行することが求められていきます。各 API で想定されている必須要件を明確に確認できるように、こうした将来の要件を「~以降に実施」形式で記載しています。追加の時間を設けることで、より広範で重要な活用事例に対応するための設計と実装に業界と引き続き取り組むことができます。たとえば、2026 年以降の要件に先立って Fenced Frames を進化させ、Protected Audience API による動画広告とネイティブ広告のサポートを維持します。以前からのコミットメントに従い、そうした変更は英国の競争市場庁(CMA)に相談し、「~以降に実施」要件を実装する前にエコシステムからのフィードバックを継続的に受け、対応していきます。

現行のテクノロジーが業界で導入される前に、将来的なプライバシー サンドボックスの変更についても、現時点で完璧な技術設計を用意すべきだと主張する方もいます。しかし、私たちはその考えには同意できません。インターネットの技術はこれまでも、これからも進化し続けますが、現在の技術設計がその進化をすべて反映できるとは限らないからです。プライバシー サンドボックスの技術がユーザーとエコシステムに利益をもたらす形で進化し続けるためには、想定する進化について透明性を保ち、業界に協力と連携する時間を確保することが最善の方法です。

ご意見 4 : Google の製品はプライバシー サンドボックスで何らかの優位性を持つのではないか

プライバシー サンドボックス技術を利用するあらゆる企業と開発者は、Google を含めて、同じプライバシー サンドボックスの機能に対して同じアクセス権を持ちます。  Google は、API が Google に有利になったり、Google の製品やサービスを特別扱いしたりしないよう、CMA に対するコミットメント(英語)を行っています。Google は、誰もが同様に利用できるプライバシー サンドボックスの技術を、広告製品を含む Google の自社製品に積極的に取り入れています。

ご意見 5 : プライバシー サンドボックスの構築にコストがかかりすぎる

プライバシー保護が強化されたウェブを実現するソリューションを構築するには、リソース、時間、労力を実際に投資することが必要です。その投資は、ユーザーの信頼を取り戻し、無料でオープンなインターネットの未来を実現するために必要なものです。現在、世界人口の半分以上が包括的なプライバシー保護法およびデータ保護法によって守られており、その要件は拡大しています。また他のブラウザでも、横断的に個人を追跡する代替的識別子を制限し、複数のウェブサイトやアプリを横断してユーザーを追跡する手段を制限しようとしています。全体で見れば、オンラインでのプライバシー保護を強化する取り組みの投資収益率は高く、その傾向はますます強くなっています。

そして革新的なソリューションは、可能性をさらに高めるために新しい技術を必要とします。プライバシー サンドボックスの場合、たとえば、高度な処理を可能にしながらユーザーのデータを保護する、クラウドベースの信頼された実行環境(Trusted Execution Environments(TEE))(英語)などのプライバシー保護強化技術(Privacy Enhancing Technologies (PETs))の使用などです。一部のアドテク事業者にとっては新たな投資を意味する場合もありますが、基盤となるインターネット技術が過去証明してきたとおり、時間の経過とともに導入される数が増え、効率性が高まり、コストが低減されると予想できます。

プライバシー保護の強化が、ビジネスに直接利益をもたらすこともあります。たとえばウェブサイト間の個人の追跡が減ることで、サードパーティ Cookie につきまとうファーストパーティ データの漏洩リスクとその代償から、パブリッシャーをより適切に守ることができます。データ保護が強化されることで、ファーストパーティ データを利用した新しい製品が生まれる可能性も高まり、すでに一歩を踏み出している企業も存在します。

ご意見 6 : プライバシー サンドボックスの API は実際のエコシステムからの提言に基づいていない

プライバシー サンドボックスには、さまざまなフォーラムで数千もの時間を費やしてAPI のデザインについて議論、討論をし、フィードバックを提供してきた業界全体の何百人もの労力が結集しています。

Protected Audience は、こうしたコラボレーションを通じてプライバシー サンドボックスを形成した好例で、Criteo、RTB House、OpenX、NextRoll など、さまざまな企業のアイデアに基づき2019 年に提案された TURTLEDOVE から進化してきました。たとえば、Criteo が信頼された実行環境(TEE)で実行されるサービス モデルの追加を提案し、RTB House がデバイス上のオークションの匿名性モデルとパーソナライズ機能を改善し、OpenX が収益化に際してパブリッシャーの選択を可能にするマルチセラー オークション構造を提案して、NextRoll が現在の設計における購入者と販売者の責任分担に貢献した、などの例が挙げられます。

Protected Audience は一例にすぎません。昨年、私たちはエコシステムから直接受けたフィードバックに基づき、Topics分類の更新や上位トピックの選択方法 Attribution Reporting柔軟なイベント レベルの構成(英語)などを更新してきました。プライバシー サンドボックス API の形成には、業界の提言が、これまでも、そしてこれからも重要であり続けます。

ご意見 7 : エコシステムで十分な準備ができるよう、サードパーティ Cookie の段階的廃止のスケジュールは変更したほうがよい

もっと時間が必要というご意見もあるかと思いますが、業界からは、スケジュールを変更するとエコシステムの準備が整うどころか、むしろ準備できない状況になる可能性が高いという話を繰り返し聞いてきました。DIGIDAY による業界の準備状況に関する調査(英語)では、「業界が Cookie 後の世界への準備を進めるために必要なことは、Google がスケジュールを守ることだろう」と結論付けています。サードパーティ Cookie の段階的廃止のスケジュールは、英国競争市場庁(CMA)から挙げられているその他の競争上の懸念への対応状況によって最終判断されすが、2024 年中の廃止に向けて準備することをすべての方に推奨しています。

変化に備える

現在、ますます多くの企業がこの変化に取り組んでおりプライバシー サンドボックスやその他のプライバシー保護技術を使うことで、既存のソリューションを進化させ、新しいソリューションを生み出すことが可能であることを証明しています。こうしたイノベーションは業界全体にとって勇気づけられるものですし、今後更にどう進化していくか大きな期待を寄せています。

ウェブのプライバシー保護に関する有意義な変化に向けてさらに詳しくは、privacysandbox.com developer.google.com/privacy-sandbox ご確認ください。