サードパーティ Cookie のない環境で広告の関連性を最大限に高める
はじめに
プライバシー サンドボックスは、誰もがアクセスできるオープンで無料のインターネットの世界を維持しつつ、ユーザーのオンラインでのプライバシーを保護しながら、デジタル ビジネスの成功につながるツールを企業や開発者に提供することを目的としています。そのため Google は、広告業界と連携してプライバシーに配慮した新たな広告テクノロジーへの移行を進めており、 2024 年下期には Chrome でのサードパーティ Cookie のサポートの段階的に廃止する予定です。
プライバシー意識が高まる中、プロダクト リーダー、CTO、CMO、CEO など、どの立場においても、ビジネス成果とユーザープライバシーの双方を最適化できるソリューションを用いて、最善の広告手法を理解することが重要となっています。
2023 年は間違いなく、サードパーティ Cookie のない時代に備えるうえで重要な年になるでしょう。このガイドでは、Cookie のない未来において、広告エコシステムがどのように関連性の広告を維持していくのかについて見ていきます。
- 関連性の高い広告を表示するために使用するデータに関して、何が変わるか
- アドテク事業者が展開しているサービスは、サードパーティ Cookie なしでどのようにインタレスト ベースの広告を提供できるか
- 機械学習は、プライバシーに配慮したシグナルを用いてどのようにパフォーマンスを最大化できるか
関連性の高い広告を表示するために使用するデータに関して、何が変わるのでしょうか
個人の興味や好みに関する情報を使用して、関連性の高い広告を表示するパーソナライズド広告は、ユーザーが見たコンテンツ、最近見たウェブサイトのパターン、以前アクセスした特定のウェブサイトなど、さまざまなデータをシグナルとして使用し、表示する広告を決定します。
現在こうしたシグナルには主に、個々のデバイスに固有のサードパーティ Cookie など、ウェブサイト間の識別子が使われています。サードパーティ Cookie が段階的に廃止されることから、関連性の高い広告を表示する際には、プライバシーに配慮したシグナルを利用するよう進化する必要があります。ファースト パーティ データ、コンテキスト シグナル、プラットフォームが提供するプライバシー保護に配慮したAPI( Topics API、Protected Audience API (旧名FLEDGE)、 Attribution Reporting API など)を使うことで、ウェブサイト間のトラッキングから保護しながら、広告業界では欠かせないユースケースに対応することが出来ます。
インタレスト ベース広告は、エコシステム全体で開発された革新的なテクノロジーを通じて継続し、発展することが可能です。こうしたテクノロジーによってユーザーのデータが適切に保護されるようになる一方で、広告は引き続き、ダイナミックでオープンなウェブに対応して成果をあげることができます。
アドテク事業者は、サードパーティ Cookie なしでどのようにインタレスト ベース広告を提供できるのでしょうか
現在、インタレスト ベースの広告主は一般的に、アドテク事業者を通じてキャンペーンに以下のような項目を設定しています。
- 目標: 広告主がこの広告キャンペーンで達成しようとしているビジネス上の成果が何かを表します。それに合わせてアドテク事業者はキャンペーンの最適化をします。たとえば、子供服の売上をウェブサイトで伸ばしたいと考えている広告主の場合、目標はウェブサイト間コンバージョン タグやアトリビューション レポートを通じて測定されます。
- オーディエンス: 広告主が訴求したい人々を表します。広告プラットフォームは広告主の広告がよくマッチすると考えられる層に向けて広告を配信します。たとえば広告主は、子供服に関して現在購買意向の強い新規顧客に訴求したいと考えることが予想されます。
- プレースメント: 広告主が広告を掲載しようと考えているウェブサイトを表します。これによって、広告が掲載される広告在庫や広告在庫のカテゴリが決定されます。たとえば広告主は、さまざまなウェブサイトに広告を掲載することもあれば、希望するオーディエンスに訴求できるウェブサイトを選択することもあります。
- 予算と入札: 広告主の総予算、またはインプレッションの配信、広告クリック、広告コンバージョンのような特定のアクションにかける予算を表します。これにより、キャンペーンが目標の費用要件を満たすように設定されます。たとえば広告主は、最大 1,000 ドルをかけて最大 2.00 ドルの CPM を支払い、対象オーディエンスと特定のウェブサイトで500,000 インプレッションを実現したいというような内容です。
オーディエンス作成の進化
サードパーティ Cookie の廃止後、アドテク事業者は、自社のプラットフォームで関連性の高い広告を配信するためにどう対応していくか考えるようになるでしょう。現在は、広告主の製品やサービスに関心を持つ可能性の高いユーザーに関連性の高い広告を出しています。広告主が使用している一般的なオーディエンスには次のようなものがあります。
- アフィニティ オーディエンス: ユーザーが熱中していることや、習慣、興味に基づいてユーザーに訴求します。
- 購買意向の強いオーディエンス: 最近の購入意向に基づいてユーザーに訴求します。
- リマーケティング オーディエンス: 広告主のウェブサイトに以前アクセスしたことがある人に訴求します。
- オーディエンス拡張: 他のウェブサイトで特定の媒体のユーザーに訴求します。
サードパーティ Cookie のサポートが終了しても、アドテク事業者は引き続き、プライバシー サンドボックス関連の API を含む新しいアプローチでこうしたオーディエンスを活用することができます。
アフィニティ オーディエンス
広告主は現在、アフィニティ(興味、関心)で分類したユーザーに訴求しており、ほとんどの場合サードパーティ データによるセグメントを活用しています。これらのオーディエンスは、多くのデータ マーケットプレイスによって提供され、デマンドサイド プラットフォーム( DSP)やデータマネジメントプラットフォーム( DMP)などのチャネルを通じて広告テクノロジー エコシステム全体で有効になるよう配信されます。
こうしたセグメントは通常、サードパーティ Cookie を使用して個人をトラッキングし、その後ユーザーがカテゴリの対象かを判断する独自の手法に基づいてユーザーをグループ化して構築されます。
サードパーティ Cookie の廃止後、アフィニティに基づきオーディエンスを選択する方法は、他のさまざまなシグナルを使用してユーザーを任意のオーディエンスに含める方法に進化していきます。プライバシー サンドボックスでは、以下のようなプライバシー保護に関するAPI を使用して、これを行うことができます。
- Topics API: この API はユーザーが最近アクセスしたウェブサイトの種類に基づいて、ユーザーの興味や関心(トピック)を一般的に知られた方法で標準化された分類で、デバイス上にて提供します。アドテク事業者がTopics API を呼び出すことで、ユーザーの興味や関心を取得することができます。この際 API では、プライバシー保護のため、考慮する閲覧履歴期間、トピックにアクセスできるソリューション プロバイダ、返すトピックの数などを制限しています。このAPI は、パブリッシャーとの直接的な関係やコンテキスト最適化機能を持たない広告技術を利用している場合に特に有効です。
- Topics API とコンテキスト データ: ユーザーのトピックとページのコンテキストを比較してユーザーのアフィニティをさらに深く推定するという高度な方法もあります。たとえばアドテク事業者が展開しているサービスは、特定のトピック(アウトドア活動など)に興味を持つ人は特定のカテゴリのページ(グリル料理に関するウェブサイトなど)にアクセスする傾向が強いことを学習するかもしれません。機械学習モデルをトレーニングすることで、Topics API で「BBQ とグリル料理」がトピックとして返されなくても、「アウトドア活動」のウェブサイトの訪問者がグリル料理に興味を持っている可能性があると予測できるのです。この方法は、広告主側のアドテク事業社(DSP)にコンテキスト最適化機能がある場合に特に機能します。
Protected Audience API: アドテク事業者はこの API を使用して、「家族で楽しめる冒険に興味がある」など、ウェブページの訪問者を特定のセグメントのメンバーとしてラベル付けしてオーディエンス セグメントを作成することができます。「家族で楽しめる冒険」に関連する他のウェブサイトがパートナー ネットワークにある場合、アドテク事業者がそうしたウェブサイトの訪問者をこちらの同一セグメントに追加することもできます。
Protected Audience は、オーディエンス セグメントへのユーザーの割り当てをデバイス上に保持し、同じユーザーが複数のインタレスト グループに属しているかどうかをアドテク事業者が展開しているサービスに共有しないため、ウェブサイト間でのトラッキングが制限でき、ユーザーのプライバシーが守られます。このAPI は、アドテク事業者にウェブサイト提携のネットワークがある場合に特に有効です。
アドテク事業者が展開しているサービスはこのような方法で、ウェブサイト間のユーザー識別子を使用せず、拡張したアフィニティ オーディエンス セグメントを利用することができます。また、利用する手法を1 つ手法に限定する必要はありません。パブリッシャーや広告主との関係、機械学習の能力によって差別化することができる可能性があります。
購買意向の強いオーディエンス
広告主は現在、「アフィニティ」に基づいてオーディエンスに訴求しているように、サードパーティ Cookie に保持されたセグメントを使用して「購買意向の強いオーディエンス」(「購入意向」ともいいます)として分類されるユーザーに訴求しています。ユーザーが「調理器具」のような製品に関して、購買意向の強いオーディエンスに分類されるか、単に料理に興味があるだけと判断されるかは、アドテク事業者固有の分類と手法によって決まります。
サードパーティ Cookie が廃止された後、プライバシー保護を強化したAPI は購買意向の強いオーディエンスの作成に使用する新しいシグナルを提供します。代わりの方法には次のようなものがあります。
- Topics API: この API を購買意向の強いオーディエンスに使用すると、アフィニティ オーディエンスに使用する場合と同様、広く知られた方法と分類に基づき、デバイス上で特定のユーザーの購入意向を推定できるトピックが返されます。こうしたトピックを生成するために使われる閲覧履歴を3 週間にすることで、アドテク事業者が利用できるデータの総量を制限してユーザーのプライバシーを保護します。しかし、製品やサービスのカテゴリが異なれば検討するサイクルも数日から数か月と異なります。よって、このAPI は、お客様の購入サイクルとTopics API の使用する閲覧履歴の期間が合致する広告主に役立ちます。
- Protected Audience API: アフィニティの場合と同様に、アドテク事業者が展開しているサービスはこのAPI を通じて「購買意向の強い自動車購入者」などの独自のセグメントを作成できます。アドテク事業者は、「購買意向の強い自動車購入者」に関連する他のウェブサイトがパートナー ネットワークにある場合、ウェブサイト間でユーザーのプライバシーを保護しつつ、そうしたウェブサイトの訪問者を同一セグメントに追加することができます。Protected Audience は、パブリッシャーと広告主に直接的な関係がありデータの連携ができ、かつ Topics API を使用した場合よりもカスタマイズの幅を広くする必要がある時に特に有効です。
Topics API と Attribution Reporting API: Topics API と Attribution Reporting API を組み合わせることで、購入などの特定のコンバージョンにマッピングされるトピックのリストを拡張し、購買意向の強いオーディエンスに訴求する手段を増やすことができます。
たとえば、分析システムや機械学習システムによって、スキューバ ダイビング器材の広告を見て購入したユーザーには「ビーチ、島」や「釣り」のトピックが関連付けられていることが非常に多いということが明らかになる可能性があります。アドテク事業者が展開しているサービスは、このインサイトをもとに、この2 つのトピックに関連するユーザーを選択して「スキューバ ダイビング器具の購買意向の強いオーディエンス」への訴求を広げることができます。この場合、Attribution Reporting はトピックとコンバージョンの関連性についての集計コンバージョン データにノイズを追加した形で提供することでユーザーのプライバシーを保護します。
このアプローチは、アドテク事業者がコンテキスト データをあまり持っていない一方で、機械学習や堅固なデータ サイエンスと分析能力を備えているという場合に有効です。
- コンテキスト データと Attribution Reporting API: アドテク事業者が展開しているサービスはこのAPI を使用して、広告が表示されるページのコンテキスト分類、広告主と製品の分類、Attribution Reporting のデータを活用して、特定の種類の製品やサービスを購入する意向が強い場合に好まれるウェブサイトのトレンドやパターンを明らかにすることができます。このデータの組み合わせにより、たとえば、家族で楽しめるアクティビティについてのウェブページを見る人は、アウトドア用の衣服も購入する意向が強い可能性が高い」といったインサイトが得られる可能性があります。
こうした方法は、アドテク事業者が展開しているサービスがウェブサイト間のユーザー識別子を使用せずにオーディエンス セグメントを創造的な方法で拡張してカスタマイズするほんの一例です。さらにより良い結果を得るために、自社データや、プライバシー保護に関するAPI の他の組み合わせなど、より多くのシグナルを統合することも可能です。アドテク事業者は、オーディエンス構築、固有のデータの保護、優れた機械学習機能の開発などさまざまなアプローチを取ることで差別化できる可能性があります。
リマーケティング オーディエンス
現在、広告主は自社ウェブサイトにユーザーが訪問した際、ブラウザにサードパーティ Cookie を設定することで、そのCookie が別のウェブサイトで確認されたときに、入札してブラウザに広告を表示するリマーケティングを行っています。このリマーケティングで、広告主は自社ウェブサイトに以前アクセスしたことのあるユーザーに再度訴求することができます。アドテク事業者のサービスでは、ウェブサイト全体でのユーザーのアクティビティに基づき、特定のウェブサイト向けにさまざまなリマーケティング セグメントを作成できます。
サードパーティ Cookie が終了しても、アドテク事業者が展開しているサービスはProtected Audience API を使ってリマーケティングのユースケースに対応できます。
- Protected Audience API: アドテク事業者が展開しているサービスは、ユーザーのアクティビティに応じてインタレスト グループを作成することで、特定のウェブサイトに対するカスタマイズされたリマーケティング セグメントを作成できます。前出のProtected Audience のユースケースでは、アドテク事業者は複数のウェブサイトから非常に大規模なオーディエンスを構築していました。このユースケースでは、過去の訪問者に再度働きかけようとしているウェブサイトは1 つだけであり、Protected Audience によるプライバシー保護が組み込まれていない場合は、ウェブサイトでの個人の特定につながるおそれがあります。このAPI は、効果的なオーディエンス リマーケティングを可能すると同時に、十分な人数が広告の表示対象となるよう k-匿名性のしきい値を設定することで個人のプライバシーを保護します。
広告主は、サードパーティ Cookie がなくても、プライバシー サンドボックスを通じてリマーケティングのために第三者のさまざまなウェブサイトで自社データを使用できます。
オーディエンス拡張
広告主は、特定のパブリッシャーのウェブサイトを訪れたオーディエンスが他のウェブサイトを閲覧している際に、さらにメッセージを届けたいと望むことがあります。オーディエンス拡張は、パブリッシャーのオーディエンスを他のウェブサイトで探すことによって拡張し、同じオーディエンスへの接触頻度や訴求を増やすプロセスです。オーディエンス拡張を使用すると、パブリッシャーは、アフィニティ(ゴルファーなど)やユーザー属性(年齢層など)といったオーディエンス セグメントを広告主に提供でき、広告主は、そのオーディエンスを他のウェブサイトでも探せるようになります。オーディエンス拡張は、広告主が小売店のウェブサイトやその他ウェブサイトで買い物をする消費者に訴求して製品の認知度を高めたい場合にも使用されます。
下記のような形で、サードパーティ Cookie 廃止後もパブリッシャーのオーディエンスを拡張できます。
- Protected Audience API: アドテク事業者が展開しているサービスは、ウェブサイトの特定部分(旅行など)を閲覧するといったユーザー アクションに応じてインタレスト グループを作成することで、ウェブサイトに対するカスタム オーディエンス拡張セグメントを作成できます。このプロセスは事実上リマーケティングと同様であり、k-匿名性のしきい値を設定することによるプライバシー保護を提供するものです。これは、広告主がパブリッシャーのファーストパーティのオーディエンス データを重視していても、そのパブリッシャーのウェブサイトで十分な広告在庫を確保できない場合に適しています。
機械学習は、プライバシーに配慮したシグナルを用いてどのようにパフォーマンスを最大化できるか
サードパーティ Cookie が廃止された後、広告主はプライバシーに配慮したシグナルと機械学習をどのように使用すれば最善の成果が得られるかを検討することが必要になってきます。
自動化で広告主の成果を高める
大半のアドテク事業者が展開しているサービスではさまざまな手動と自動のキャンペーン最適化手段が提供されています。
手動対応の頻度が高いソリューションでは、広告主は、希望するオーディエンス、プレースメント、入札を指定し、その入力の範囲内に収める必要があります。手動でのセットアップでは広告主が確実にコントロールすることができますが、パフォーマンスの高いオーディエンスとプレースメントを広告主がすべて把握する必要がある場合、または関係するすべての変数を考慮してインプレッションごとに理論的に最適な入札単価を予測することができない場合、最適ではない結果に陥る可能性があります。
自動化が進んでいるソリューションでは、広告主は希望するビジネス上の成果(コンバージョン単価/売上が2 ドルなど)を指定し、パフォーマンスの高いオーディエンスとプレースメントや、希望する目標を達成するために適した入札単価を、機械学習を使用して見つける事ができます。この場合、予算と目標以外、アドテク事業者が展開しているサービスに制約はほぼありません。広告主によるオーディエンスの選択は「提案」や「出発点」として考慮されるかもしれませんが、機械学習は人間には判別できないような、利用可能なあらゆるデータの中からパターンを探し出します。
機械学習はこうしたパターンを使用して、さらに関連性の高いオーディエンスを追加し、そのオーディエンスの予測されるパフォーマンスに基づいて入札単価を調整してパフォーマンスを最適化します。プライバシー サンドボックスは、サードパーティ Cookie 廃止後に機械学習に利用できるさまざまなシグナル提供元のうちの一つです。機械学習は、期間、時間帯、キャンペーン、さらには広告主にわたって、すべての最適なオーディエンス、プレースメント、入札単価について継続的に試行と学習を繰り返して広告のパフォーマンスを最大化します。
オーディエンス、プレースメント、入札単価を広告主が管理する必要性を減らすことで、広告主の負荷を軽減し、機械学習システムで最善の成果をあげることができます。広告テクノロジーの自動ソリューションに対する投資は、広告主にメリットがあるだけでなく、サードパーティ Cookie からの移行にも役立ちます。
機械学習のためのその他のシグナル
アドテク事業者が展開しているサービスは、広告を配信するために入札するかどうかを判断する際、常に複数のシグナルを考慮してきました。ウェブサイト間 Cookie トラッキングがなくなっても、アドテク事業者は、機械学習で利用可能な、プライバシーに配慮したあらゆるシグナルを活用してコンバージョンなどのビジネス上の成果を予測できます。以下のようなプライバシーに配慮したシグナルは、現在過小評価されることもありますが、今後サードパーティ Cookie がなくなると、広告の効果に大きく貢献する可能性があります。
- 広告クリエイティブの特徴: 広告クリエイティブをテキスト、画像、デザインなどの要素で分析すると、広告の主題や、テキストが多く含まれているかどうかなど、特定のオーディエンスや特定のページでのパフォーマンスを予測できることがあります。
- 自社データ(ファーストパーティーデータ): パブリッシャー、マーケター、小売店のネットワークは、 販売者定義のオーディエンス(英語)など、自社データの識別子とセグメントの構築を進めています。あるウェブサイトにおけるユーザーの長期的な行動を把握することで、ウェブサイト間のプロファイリングを行わなくても、そのウェブサイトのユーザーまたはセグメントに最適な広告がどのようなものなのかを適切に予測できます。パブリッシャーは自社データを使うことで、すべての自社ウェブサイトにおいて入札を改善することができます。これらウェブサイトにおける入札を改善することで、キャンペーン全体のパフォーマンスを累積的に高めることができます。
アドテク事業者が展開しているサービスは、コンテキスト データ、クリエイティブ データ、自社データに加えて、機械学習や、プライバシー保護を強化したAPI からのプライバシーに配慮したシグナルなど、利用可能なすべてのツールを組み合わせることで最善の結果を得ることができます。
おわりに
サードパーティ Cookie が段階的に廃止された後、消費者が望むとおりのプライバシー保護を受けられ、同時に広告業界が引き続き関連性の高い広告を配信できることが重要です。プライバシー サンドボックスのような新たなツールでソリューションを構築することは決して簡単ではありませんが、Google は移行期間中も引き続き業界全体をサポートしていきます。
Google が推奨する今後の対応を以下にまとめます。
- サードパーティ Cookie がなくなった後、一般的なインタレスト ベースの広告ユースケースに対応するため、Topics、Protected Audience、Attribution Reporting などのプライバシー保護を強化したAPI をアドテク事業者が展開しているサービスに組み込む投資を行う。
- プライバシーに配慮した他のシグナル(パブリッシャーの自社データを含む)と組み合わせてプライバシー サンドボックス関連の API をテストし、将来的なパフォーマンスを把握して戦略に活かす。
- プライバシーに配慮した、利用可能なすべてのデータを機械学習で使用できるようにし、学習と最適化の自由度を可能な限り高くしてパフォーマンスを最大限に高める。
プライバシー サンドボックス関連の API を使用することで、広告テクノロジー業界はターゲティングと入札に関する多くの重要な機能を備えることができます。一方、このようなAPI のほかにも、プライバシーの保護に関するシグナルを追加で組み込んでまとめて導入することには数多くのメリットがあります。
イノベーションは、デジタル広告業界の DNA に刻まれています。関連性の高い広告に対する既存のアプローチを進化させることで、サードパーティ Cookie から、今よりもプライバシーに配慮し、かつ、パフォーマンスの高いウェブへの移行を成功させることができるのです。